黒尾誠『腎臓が寿命を決める』(幻冬舎2022)を読みました。
気になったポイントについてまとめます。
リンは、強い骨のために体内にある
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このように生き物は骨の中にリンを蓄える仕組みを作ったことによって陸上に進出できたと言ってもいいのです。/しかしその一方でリン酸カルシウムの骨を持った動物たちは、非常に大きなリスクを抱えることになってしまいました。つまり、そのリスクこそ、過剰になったリンが引き起こす「老化加速」「寿命短縮」といった諸問題だったのです。55ページ
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もっとも、リン酸カルシウムは、普段はたんぱく質と結合して血中を移動しています。そしてそして、このリン酸カルシウムのコロイド粒子はCPP って呼ばれています。59ページ
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FGF 23は体内のリンの量を調節しているホルモンで、体内に必要以上のリンが入ってくると「リンを排泄せよ」という指令を腎臓に送る役割を果たしています。そして腎臓サイドでその指令を受け取っている受容体がクロトー遺伝子であったわけです。97ページ
私達の骨が強く維持できるのは、血中をリン酸カルシウムが高濃度で流れていて、骨が傷ついたときにすぐに修復してくれるからなのですね。しかし、それには問題も伴います。ひとつは、骨ではない場所でリン酸カルシウムが凝固し、身体の機能を低下させてしまうこと。もうひとつは、リンの排泄で腎臓が弱ってしまうことです。
リンを減らすには無機リンを減らす
無機リン(略)体内への吸収率は90%以上で、口から入った添加物の無機リンはすべて吸収されてしまうと思った方がいい。126ページ
とりあえずリンの摂取を減らすことが大切ですが、タンパク質製品にはリンは基本的に含まれているようです。重要なのはリンがたくさん含まれており、かつ吸収率も高い添加物(とくに加工肉、化学調味料)の摂取を減らすことのようです。
感想
最近よくリンや腎臓の話を耳にするので、どういう流れなのかなと思って読みました。大変面白かったです。血中にカルシウムが流れているという話は以前は歯医者で聞いたことがありました。それがだ液にも出てきて歯石の原因になるらしいです。
しかしそれは骨の修復のためだったのですね。勉強になりました。