牧千夏の話したいこと

読んだ本や考えたことを勝手に紹介しています。

本のレビュー

レビュー_池谷裕二『脳には妙なクセがある』

池谷裕二『脳には妙なクセがある』(扶桑社、2012)を読みました。 面白かったポイントについてまとめます。 持つ語彙で思考や行動が変わる これは国語の教員として、嬉しい情報でした。私は工学を専門にする学生を相手に、国語の授業をしています。当然ではあ…

レビュー_アダム・ハート『目的に合わない進化』

アダム・ハート『目的に合わない進化 進化と心身のミスマッチはなぜ起きる』上下(原書房、2021)を読みました。 一言でまとめると この本は、人間が進化の過程でどのような特徴を得てきたか、そしてその特徴が現代社会でどのようなミスマッチ問題を起こして…

レビュー_『知を再構築する 異文化融合研究のためのテキストマイニング』(ひつじ書房、2021)

内田諭・大賀哲・中藤哲也編『知を再構築する 異文化融合研究のためのテキストマイニング』(ひつじ書房、2021)を読みました。 本書は、KH Coderを使用したテキストマイニングの基本的な使用法と、KH Coderを利用した具体的な研究実践が報告されています。 第…

レビュー_林俊郎『「糖」が解き明かす人類進化の謎』(日本評論社、2018)

林俊郎『「糖」が解き明かす人類進化の謎』(日本評論社、2018)を読みました。 これまでも人類史についての本はいくつか読んできました。人類は、肉食または骨髄食だったという見解をよく目にしましたが、林氏はそれとは異なる説を提唱します。 この本は、2…

レビュー_エドワード・W・サイード『知識人とは何か』

エドワード・W・サイード著、大橋洋一訳『知識人とは何か』(平凡社、1998)を読みました。 知識人の性質として、重要なポイントは、次の3つにあると読みました。 ①表象(代表、代弁)する 「わたしにとってなにより重要な事実は、知識人が、公衆にむけて、あ…

レビュー_林成之『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎、2009)

林成之『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎、2009)を読みました。 その名の通り、やってしまいがちな7つ思考や行動のパターンが、いかに脳の働きを阻害するかが指摘されます。 まず、本書で前提とされるのは 脳には「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」と…

レビュー_ 『科学者たちが語る食欲』(サンマーク出版、2021)

デイヴィッド・ローベンハイマー、 スティーヴン・J・シンプソン『科学者たちが語る食欲』(サンマーク出版、2021)を読みました。 久々に大きなショックを受けた本でした。私は、高タンパク質/高脂肪/低炭水化物の食事を心がけていましたが、これが必ずし…

レビュー_有田秀穂『疲れない人の脳』(三笠書房、2020)

有田秀穂氏の『疲れない人の脳』(三笠書房、2020)を読みました。 本書は、セロトニン・オキシトシン・メラトニンの合成分泌を促し、快活な生活を送るための具体的な方法が書かれています。 本書で提案される具体的な方法の骨子は、デジタル機器に接する時…

レビュー_德本善彦「断絶としての差異」(『日本文学』70(8)、2021)

今月発行の『日本文学』を読みました。 德本善彦氏の「断絶としての差異」(『日本文学』70(8)、2021)についての、まとめと感想です。 内容を一言で言えば、 坂口安吾「イノチガケ」の前篇と後篇の語りの差異が、当時の歴史文学論争における2つの立場の差…

レビュー_加藤夢三「献身する技術者」(『日本文学』70(8)、2021)

今月発行の日本文学協会の機関誌『日本文学』を読みました。 加藤夢三氏の「献身する技術者」(『日本文学』70(8)、2021)についての、まとめと感想です。 内容を一言で言えば、 1930年ごろに横光利一が行った、「民族」と「科学」とを結びつける主張は、科…

本のレビュー_池谷裕二『パパは脳研究者』

脳科学研究者の立場から、筆者ご自身の娘さんの成長を分析された本です。 子どもの小さな成長のしるしが、脳科学的に意味づけられるのが、面白かったです。例えば、ウソについてです。ウソをつけるようになったと言うのは、時間的・空間的・心理的パースペク…