牧千夏の話したいこと

読んだ本や考えたことを勝手に紹介しています。

2022-01-01から1年間の記事一覧

「叱る」は正義ではなく、自己満足_『〈叱る依存〉がとまらない』

村中直人『〈叱る依存〉がとまらない』(紀伊國屋書店2022)を読みました。 引用と感想 悪いことをした人に罰を与える「処罰感情の充足」もまた、人間にとって魅力的な「報酬」の一つであるということです。_50ページ こういった処罰欲求は、一体なぜ人間に…

私は私を合理的だと思い込んでいる_『予想どおりに不合理』

ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』を読みました。 引用と感想 ラップがこれまでの経験から学んだのは、値の張るメイン料理をメニューに載せると、たとえそれを注文する人がいなくても、レストラン全体の収入が増えるということだ。なぜだろう?大抵の…

競争しない子育て_『世界一幸せな子どもに親がしていること』

リナ・マエ・アコスタ&ミッシェル・ハッチソン『世界一幸せな子どもに親がしていること』(日系BP社、2018)をよみました。 簡単に感想をまとめます。 子育てでも競争社会 それに対し、イギリスやアメリカの親たちは、自分で課した非現実的な期待や他人の意…

リンは諸刃の剣_『腎臓が寿命を決める』

黒尾誠『腎臓が寿命を決める』(幻冬舎2022)を読みました。 気になったポイントについてまとめます。 リンは、強い骨のために体内にある このように生き物は骨の中にリンを蓄える仕組みを作ったことによって陸上に進出できたと言ってもいいのです。/しかし…

あいさつ程度のつながりを届ける_『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』

森川すいめい『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』(青土社2016)を読みました。面白かったところをまとめます。 責任問題ではなく、今困っていることを見て即助ける 通常だったら、もしかしたらゴールデンウィーク前に親知らず抜いてくるなんてと怒…

不安もイライラも運動でごまかそう_『生物学的に、しょうがない!』

石川幹人『生物学的に、しょうがない!』(サンマーク出版、2021)を読みました。 簡単にまとめます。 不安もイライラも運動で解消 これはじつは、死にそうな恐怖が減ってしまったがために不安が膨らむという、皮肉な関係なんです。たとえば大災害が起きてそ…

多様性を道徳でなく、イノベーションベースで語ろう_『多様性の科学』

マシュー・サイド『多様性の科学』(ディスカバー・トゥエンティワン、2021)を読みました。 一言で言えば 多様性によって、組織やプロジェクトに新たな視点がもたらされ、それがイノベーションやリスク管理に役立つことを、科学的に説明しています。 以下に…

読書メモ_THE VALUES IN NUMBERS

Hoyt Long; THE VALUES IN NUMBERS( 2021 Columbia University Press) を読みました。自力では読めなかったので、DeepLで翻訳して、それと対照しながら読みました。レビューというか読書メモになってしまいました。 序章 医学で、平均値は 文学研究で数値…

狩猟採集の社会は、持続可能な社会_『「本当の豊かさ」はブッシュマンが知っている』

ジェイムス・スーズマン著、佐々木和子訳『「本当の豊かさ」はブッシュマンが知っている』(NHK出版、2019) を読みました。 一言でいえば ナミビアのカラハリ砂漠のブッシュマン(コイサン人のうち狩猟採集民)が、資本の蓄積とは違ったかたちで、安定を保…

いまのあなたを、ついでに助ける_『チョンキンマンションのボスは知っている』

小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている』(春秋社、2019)を読みました。 一言で言えば 香港のチョンキンマンション周辺で繰り広げられる、タンザニア人によるアンダーグラウンドな経済を解説しています。ここでは、たまたま居合わせ他者と「…

継続は疲れなり_『すべての疲労は脳が原因』他

梶本修身『すべての疲労は脳が原因』(集英社、2016) 梶本修身『すべての疲労は脳が原因2超実践編』(集英社、2016) 梶本修身『すべての疲労は脳が原因仕事編』(集英社、2017) 梶本修身『スッキリ!体と脳の疲れが消える本』(PHP 研究所2016) 梶本修身…