牧千夏の話したいこと

読んだ本や考えたことを勝手に紹介しています。

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

レビュー_西田谷洋「信仰としての文学教育」

西田谷洋先生より 「信仰としての文学教育」(『富山大学日本文学研究』8、2021)をご恵送頂きました。 簡単に内容をまとめさせていただきます。 田中実氏の第三項理論とは 作品の語り手を実体的に捉えます。そして、読書という行為を、読者がその語り手を「…

押しつけられた一生懸命を捨てて、自分に従う_『あやうく一生懸命生きるところだった』

ハ・ワン『あやうく一生懸命生きるところだった』(ダイヤモンド社、2020)を読みました。 面白かったポイントをまとめます。 過大な評価・過大な目標は、不幸のもと ほんの少し顔を上げて周囲を見渡すだけで、他の選択肢が色々あると気づくのに、執着してし…

レビュー_大木志門『徳田秋声と「文学」』

『徳田秋声と「文学」』(鼎書房、2021)を、大木志門先生よりご恵送いただきました。まずは、各章の内容をまとめます。 第1章 秋聲旧蔵原稿『鐘楼守』から見る明治の文壇 『鐘楼守』は、伊藤重治郎が下訳し、それを秋声が直し、尾崎紅葉の署名で出版したも…

今日を生き抜いた私ってスゴい!_『「その日暮らし」の人類学』

小川さやか『「その日暮らし」の人類学』(光文社、2016)を読みました。 一言で言えば その日暮らし、と言われる経済生活に、今ここを生きる、強さと喜びがあることが指摘されます。 もう少し詳しく コピー商品にはインフォーマルな価値がある コピー商品や模…

全体を見て、身体で感じる_『菌の声を聴け』

渡邉格・麻里子『菌の声を聴け』(ミシマ社、2021)を読みました。 個人的に面白かったポイントをまとめます。 身体を動かすことは、楽しい 面白いもので、人間は動いていると思考が楽観的になる。22 日々作業に追われる中で怪我もしたけれど、体を動かして…