牧千夏の話したいこと

読んだ本や考えたことを勝手に紹介しています。

本のレビュー_池谷裕二『パパは脳研究者』

脳科学研究者の立場から、筆者ご自身の娘さんの成長を分析された本です。

 

子どもの小さな成長のしるしが、脳科学的に意味づけられるのが、面白かったです。例えば、ウソについてです。ウソをつけるようになったと言うのは、時間的・空間的・心理的パースペクティブが広がった、と意味づけられるそうです。確かに、相手に何が分かって何が分からないかを考えられないと、ウソはつけませんね。そうしたことにはっとさせられ、面白く読みました。

 

ただ、読んでいて少し辛くなる場面もありました。月齢ごとに娘さんの発達が示されているのですが、それが自分の子よりもはるかに早かったためです。上の子と比較してもそうでしたが、特に私の2人目の子どもはハンデがあるため、より遅れを感じてしまい、少し暗くなってしまいました。もちろん、発達には個人差があるということは、当著でも示されていました。けれど、同時に幼い頃の発達の重要性についても指摘されていたので、心配になりました。

 

励まされたのは、あとがきにあった「子は親の言うことを聞くようにプログラムされていない」ということです。まあ、子ども見ていればその通りだと納得できますね。言うことを聞かなくても、まあそもそも子どもはそういうもんだ、と思えば少し寛容になれるように思いました。