牧千夏の話したいこと

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レビュー_林成之『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎、2009)

林成之『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎、2009)を読みました。

 

その名の通り、やってしまいがちな7つ思考や行動のパターンが、いかに脳の働きを阻害するかが指摘されます。

 

まず、本書で前提とされるのは

脳には「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という3つの本能がある。

脳には「自己保存」「統一・一貫性」という後天的な2つのクセがある。

この3つの本能を利用しつつ、クセに注意することが必要だとされます。

 

個人的に面白かったところを数点。

①意見が違う人を嫌いと思ってしまうのは、脳の「統一・一貫性」からはずれるからである。(p.41)

確かに、意見が違うからといってその人を嫌いだと言う必要はないですね。ここでは「統一・一貫性」を求めようとするのではなく、意見の違う人を「知りたい」「仲間になりたい」という目で見た方がよいと思いました。

 

②自己報酬神経群を働かせるには、「自己保存」して自分の利益を優先させることよりも、「仲間になりたい」の本能を利用して、人のためになろうとする方が効果的。(p.65)

これは確かに、とうなづいてしまいました。つい数字にこだわって、少しでも多くの成果を求めてしまいます。しかし、自分が本当に嬉しいと思えるのは、数字が伸びたときより、自分の仕事によって誰かがよろこんでくれたときですね。

このような個人的な心の動きが、脳の仕組みによって説明されることが面白かったです。

 

③終わりに近づいたとき、「これでゴールだ」ではなく「ここからが勝負だ」と考える

耳が痛いですね…。あと少しで終わるという考えは、脳のパフォーマンスを落とすようです。終わりが近づいたとき、最後までいいパフォーマンスを保つためには、最後にもう一踏ん張りする必要があるのですね。

 

④考えるときは4日間ごとに間を置く(p.117)

なにか思考をまとめるとき、まとまってくると「統一・一貫性」のクセがはたらくようです。すると思考が硬直してブレイクスルーがおきません。一度考えをまとめたら、4日あけて、いったん自分の思考を忘れ、その後取り組むと、新しい思考が生まれるようです。

 

⑤暗記を確かにするには、大体覚えているかではなく、「3日経って覚えているか」「覚えたことをきちんと説明できるか」が大切(p.133)

これはすぐに授業でつかえそうだ!と思いました。学生を見ていると、説明を理解したことで、分かったと思っていると感じることがあります。こちらで説明した後に、ではみんなも説明してみよう、という時間をとるといいなと思いました。

 

⑥内容を伝えるには、感情を込めて話そう(p.160)

脳には「仲間になりたい」「統一・一貫性」を保つ傾向があります。そのため、人の話を聞くとき、できれば相手と同じ思考のループを作ろうとするようです。これを脳の同時発火といいます。

しかし、物事の興味がずれていたり、感情が共有できなければそのループを作れないようです。そのために、相手のリズムに合わせ、自分が面白い・興味深いと思った感情が伝わるように話すとよいようです。

 

自分が授業やプレゼンをするとき役立つ内容で、とても勉強になりました。