牧千夏の話したいこと

読んだ本や考えたことを勝手に紹介しています。

カロリー消費量は運動量と関係がない_『運動しても痩せないのはなぜか』

ハーマン・ポンツアー『運動しても痩せないのはなぜか 代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」』(草思社、2022)を読みました。

 

とくに勉強になった点を引用します。

 

  • 寿命と代謝の関係を説明するより有力な説として1950年代に登場したのがフリーラジカルが老化を引き起こすとする説だった。(略)電子伝達系のミトコンドリアの中で行われるATP合成の最後の過程で酸素の分子がフリーラジカル活性酸素種とも呼ばれる)に変わることがある。フリージカルは電子を1つ失った酸素の分子だ。この変異した酸素種は貪欲で、周囲の分子から電子を奪い、DNA、脂質、タンパク質に害を及ぼす。ハーマンはこのフリーラジカルにあるダメージの蓄積が老化であると論じたのだ。_117ページ
  • 体を動かすとどんなやり方であれカロリーの使い方が調整されて不健康な仕事に費やされるカロリーが減る。_284ページ
  • 身体活動は会社の調節法に影響を及ぼすというものだ。定期的に運動をしていると脳が食欲をカロリーの必要性にうまく合わせることができる。カロリーの高い脂肪たっぷりのものを食べすぎると視床下部に炎症が生じる。すると空腹満腹を知らせる信号の調節がうまくいかなくなり、体重が増える。_287ページ

 

運動の価値は、カロリーの消費量を増やすことで痩せられるという点にはありません。運動でカロリーを消費しないと、その分のカロリーが身体の炎症反応に使われてしまうから、それを避けるために運動をすべきだと筆者はいいます。

 

自分の実感としてもなるほどと思う部分の多い本でした。面白かったです。